米海軍イージス艦フィッツジェラルドが大型コンテナ船と衝突、米兵7人死亡、3人負傷の未曽有の大事故

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大損傷した米イージス艦 起こるはずのない衝突

AERA dot. 2017.6.24 16:00

今年の米第7艦隊は事故続きだ。1月31日には巡洋艦アンティータム(約1万トン)が母港横須賀の港口付近で浅瀬に乗りあげてプロペラを損傷、油圧作動用の油約4トンが流出した。5月9日には韓国・浦項(ポハン)沖の日本海巡洋艦レイク・シャンプレイン(同型)が韓国漁船接触している。

 そして6月17日には駆逐艦フィッツジェラルド(約8300トン)が伊豆半島石廊崎の南東沖約20キロで日本郵船が雇っているフィリピン船籍(乗員20人も同国人)のコンテナ船ACXクリスタル(2万9千トン)と衝突、同艦は艦橋下の右舷と水線下に重大な損傷を受け、乗組員7人が死亡、艦長ブライス・ベンソン中佐ら3人が負傷した。

 

●船底を突き破られた

 

 この3隻の米軍艦はいずれも「イージス」対空ミサイル・システム搭載艦だが、それは当然で米海軍の巡洋艦駆逐艦計85隻のうちイージス艦でないのは1隻だけだ。

 軍艦と貨物船が衝突して、軍艦の被害のほうが大きかったことに驚く人も多いが、軍艦は船体に多くの肋骨を入れ、薄い外板を張る障子のような構造で、軽くて波浪に強いが、側面からの衝突には脆い。商船は船価を安くするため肋骨を少なくし、厚い外板で強度を保っている。フィッツジェラルドは破片などから高価な電子装備を守るため、引っ張り強度が高いケブラー繊維を固めた装甲約70トンを使っているが、それが付いているのは艦の一部だけだ。

 多くの商船は船首の水線下にずんぐりとした突起物「バルバス・バウ」を付け、船首が波を立てる際の抵抗を減らして燃費を良くしている。ACXクリスタルが衝突した際は、その船首の上部が駆逐艦の右舷艦橋近くまで破壊すると同時にバルバス・バウが船底を突き破ったから、下士官、水兵の居住区に水が流入、7人が水死したが、各区画を閉鎖して沈没は免れた。

 だが、艦橋の下の水線下には、「戦闘情報センター」があり、コンピューターが集中する。1千数百億円以上するイージス艦の価格の半分近くは電子装備だから、海水に漬かっていれば大損害。艦齢も22年だけに、修理せずに廃艦になるかもしれない。

 

●見張りの怠慢で衝突

 

 米海軍は事故から5日たっても、当時の駆逐艦の行動について一切発表せず、フィリピン船員の事情聴取をした海上保安庁も口を閉ざしている。だが名古屋港から東京港に向かっていたコンテナ船の航跡は「船舶自動識別装置」で記録されている。これによれば、同船は衝突前は東北東に航行、午前1時30分ごろに衝突した後、右転して南東に向け6分間、約3キロ移動している。左側から接近した駆逐艦と衝突し、船首を押されて右に曲がったか、あるいは衝突を避けようとし、直前に右に舵を切ったかと思われる航跡だ。

 2隻の船の針路が交差し、衝突コースに入った際には右側に相手を見るほうがよける義務があり、右舷が衝突した駆逐艦のほうが基本的には分が悪い。仮に駆逐艦が低速でほぼ同方向に進んでいて、コンテナ船がそれを右側から追い越そうとしていれば、追い越す側に避ける義務がある。だがコンテナ船は駆逐艦の右舷の緑燈を見て、自船の針路を横切ろうとする相手のほうが避ける、と思った可能性もある。夜間には他船の動きはわかりにくいが、天候は良かったし、航海レーダーには周囲の船の針路も表示されるから、どちらかが肉眼とレーダーでしっかり見張っていれば衝突は避けられたはずだ。

 これは米軍の公務中の事故だから、米軍人に対しては地位協定で米国に第1次裁判権があるし、そもそもどの国の軍艦も他国の管轄権外だ。とはいえ、日本領海内での事故だから海保も捜査し、もしフィリピン船員に過失があれば日本側で訴追することになる。だが、米軍の全面的協力がなければ原因の解明は困難だ。(軍事評論家・田岡俊次

 

静岡・伊豆沖の米イージス艦衝突:操船責任者不起訴

毎日新聞

静岡・伊豆半島沖で昨年6月、米海軍のイージス艦フィッツジェラルド」とフィリピン船籍の大型コンテナ船「ACXクリスタル」が衝突し、米兵7人が死亡した事故で、静岡地検は23日、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険の容疑で書類送検されていたイージス艦の甲板士官とコンテナ船の2等航海士を不起訴処分とした。いずれも衝突時、当直中の操船責任者だった。

 2人の送検容疑は昨年6月17日午前1時半ごろ、衝突回避動作を怠って両船を衝突させ、イージス艦に乗っていた当時19~37歳の米兵7人を死亡させたほか、3人にけがをさせたとしている。

 日米地位協定上、公務中の在日米兵については第1次裁判権が米側にあるとされ、米側は当時の艦長を軍法会議にかける方針を示している。地検は甲板士官の処分理由を明らかにしていないが、事故当時は公務中だったことは認定した。2等航海士は「過失を認めることができない」として、容疑不十分で不起訴とした。

 

静岡・伊豆半島沖で昨年6月、米海軍のイージス艦フィッツジェラルド」とフィリピン船籍の大型コンテナ船「ACXクリスタル」が衝突し、米兵7人が死亡した事故で、静岡地検は23日、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険の容疑で書類送検されていたイージス艦の甲板士官とコンテナ船の2等航海士を不起訴処分とした。いずれも衝突時、当直中の操船責任者だった。

 

 2人の送検容疑は昨年6月17日午前1時半ごろ、衝突回避動作を怠って両船を衝突させ、イージス艦に乗っていた当時19~37歳の米兵7人を死亡させたほか、3人にけがをさせたとしている。

 日米地位協定上、公務中の在日米兵については第1次裁判権が米側にあるとされ、米側は当時の艦長を軍法会議にかける方針を示している。地検は甲板士官の処分理由を明らかにしていないが、事故当時は公務中だったことは認定した。2等航海士は「過失を認めることができない」として、容疑不十分で不起訴とした。

静岡・伊豆半島沖で昨年6月、米海軍のイージス艦フィッツジェラルド」とフィリピン船籍の大型コンテナ船「ACXクリスタル」が衝突し、米兵7人が死亡した事故で、静岡地検は23日、業務上過失致死傷と業務上過失往来危険の容疑で書類送検されていたイージス艦の甲板士官とコンテナ船の2等航海士を不起訴処分とした。いずれも衝突時、当直中の操船責任者だった。

 

 2人の送検容疑は昨年6月17日午前1時半ごろ、衝突回避動作を怠って両船を衝突させ、イージス艦に乗っていた当時19~37歳の米兵7人を死亡させたほか、3人にけがをさせたとしている。

 日米地位協定上、公務中の在日米兵については第1次裁判権が米側にあるとされ、米側は当時の艦長を軍法会議にかける方針を示している。地検は甲板士官の処分理由を明らかにしていないが、事故当時は公務中だったことは認定した。2等航海士は「過失を認めることができない」として、容疑不十分で不起訴とした。

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