口先だけのフレンドシップ - 岩国基地で拘束中の海兵隊員が脱走、しかし地元に説明は今だになし
お隣の広島県では低空飛行と騒音被害が増大し、大変なことになっているというのに、米軍基地増強中の岩国基地では、連休にお祭り騒ぎだ。
「フレンドシップ・デー(2018年日米親善デー)」は、山口県のアメリカ海兵隊岩国基地で2018年5月5日(土)に開催されます。2018年も海上自衛隊第31航空群と共催する、ゴールデンウィーク恒例の基地開放行事です。アメリカ空・海・陸軍、海自と空自の航空機に加え、民間からはレッドブルで年間チャンピオンに輝いた室屋さん、ウィスキー・パパが参加します。
2018年はF-35Bが、アジア地域で史上初となる飛行展示を実施します。世界初の短距離離陸・垂直着陸(STOVL)ステルス戦闘機のF-35Bが、探知されにくいステルス性能を展示飛行でどのように表現するかも注目されます。
しかし、米軍は本当に市民のフレンドなのか。
21日、米軍基地から拘束中の海兵隊員が脱走。しかし逃走のあいだ、住民は何も知らされず、25日になっても市には米軍側から何らの詳細の説明はない。
本当にフレンドなら、もっと誠実な態度というものがあるはずだ。ここで脱走した海兵隊員は、岩国基地所属ではなかったというが、いったいどういう事情なのかもさっぱり伝えられない。お前らに関係はないという態度で、説明はおろか、謝罪もない。
米軍岩国基地(岩国市)から拘束中の男性海兵隊員(19)が脱走した事件で、基地周辺の住民に不安が広がっている。隊員は21日に脱走し、約3時間後に岩国市中津町の路上で岩国署員に確保され、基地の憲兵隊に引き渡されたものの、逃走中に住民は何も知らされず、25日になっても市や米軍側から詳細の説明はない。岩国基地報道部は取材に対し、拘束理由などについて「情報の提供は不適切」として答えていない。
福田良彦市長は25日の定例記者会見で、脱走兵は岩国基地所属ではなく、拘束理由は軍の規律違反だったと明かした。基地司令官から23日に伝えられた情報だという。しかし、こうした事件での周辺住民への情報提供について「防災無線で知らせるべき事案かどうかも含め検証したい」と話すにとどめた。
基地近くの60代の主婦は、脱走兵と追いかける憲兵隊員を目撃した。その時の恐怖を思い起こし「市民は何に用心したらいいのか分からない。近くで何が起きているか知らないまま生活できるか」と憤る。また、40代の男性商店主は2月に、近くの路上で米兵同士のけんかを見たこともあり「脱走兵が3時間も近くにいたと聞いて恐ろしくなった。子供がいるので心配だ。防災無線で用心を呼び掛けるなどできなかったのか」と迅速な情報提供を求めた。
パトカーが何台も走っているのを見た70代の女性商店主は「広島・向島の受刑者逃走がこっちに来たのかと思い、怖かった。何があったのか市役所も知らせてほしい」と市の対応に不満を漏らした。【古賀亮至】 。
そして、基地礼賛イベントに勝手に「フレンドシップデー」なる名称をつける。
一方的な友達宣言をする前に、情報ぐらい提供して謝罪したらどうなんだ ?
おこがましいにもほどがある ! ! !
米軍基地は差別と弾圧を重層的に重ねてくる。それが植民地支配の構造だ。
この美しい小都市、岩国市は、かつては前市長の下で住民投票で米軍基地移転を拒絶する民意を明示した。しかし、その直後から圧倒的な力で国家権力に踏みしだかれていった。
この岩国市長は明らかに米軍の友達だろう。
しかし、市民の、本当の友達はどこなのか。少なくとも、説明も謝罪もしないような米軍ではないはずだ。
口先だけのフレンドシップにだまされるな !
< 後記 >
今、前岩国市長の井原氏と前名護市長の稲嶺氏のイメージが重なって仕方がない。二人とも個人的にお会いしたことがあるから余計にそう思う。飾らず、誠実で、物静かだが、揺るぎない市民への想い。井原前市長は東大卒のエリート官僚だったが、故郷の市民のために市長となり、岩国市はすばらしい市長の指導力のもとで市民投票をした。たとえひどいやり方で井原姿勢が突き崩されてしまった今でも、その輝かしい歴史は残る。そして素晴らしい市長だった。岩国市の誇りであろう。
誰かが一月に投稿していたツイートをここに記しておきたい。
名護の漁業者の皆さん絶対に諦めないでください。稲嶺さんを再選して辺野古の海を守りましょう!自公候補では第二の岩国になってしまいます。#米軍基地要らない
— hayami (@kaapumaru) 2018年1月28日
<名護市長選告示>変わる海、揺れる人 辺野古移設是非問う(毎日新聞) - Yahoo!ニュース https://t.co/dRyrUGX54v @YahooNewsTopics
岩国の前市長井原さんは、政府の圧力にも屈せず米軍基地強化にNOを主張していました。続く市長選挙では政府の札束攻勢で、自公推薦の福田市長が誕生しました。その後の岩国基地は皆さんご承知の通り、今や極東最大の米軍基地になろうとしています。#稲嶺ススム #米軍基地要らない
— hayami (@kaapumaru) 2018年1月28日
東京新聞:米艦載機、厚木から岩国へ 地方押し付けは沖縄と同じ:社会(TOKYO Web)
今月二十三日に厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)の米空母艦載機の移駐受け入れを表明した山口県岩国市は、かつて住民投票で移駐に反対の意思を示していた。市長として二〇〇六年、投票を実施した井原勝介(かつすけ)さん(66)は、首都圏で騒音の原因となってきた艦載機の移駐に「沖縄と同じ。地方への一方的な押し付けだ」と疑問を投げ掛ける。 (井上靖史)
「民意が実現しないのが残念で仕方ない。投票に行ってくれた市民にも申し訳ない」。
潮風が吹き付ける岩国基地ゲート横。滑走路を眺める井原さんは無念そうだった。
艦載機移駐を含む米軍再編計画が浮上したのは〇五年。翌年の住民投票は、当時の有権者の58%に当たる四万八千人が投票し、うち89%の四万三千人が移駐に反対した。この結果を基に井原さんは「移駐させる機数も提案しながら国と交渉しようとした」という。だが防衛省側から「米軍再編の内容は協議しない。受け入れを決めればスケジュールや、段取りの話し合いには応じる」と拒まれた。
辞職し、信を問う市長選に出たが、〇八年、移駐容認派の福田良彦・現市長に敗れた。井原さんは「小さな自治体が国に反対することに市民も不安になったんだと思う」とみる。
凍結されていた補助金は選挙直後に交付された。その後も国から地域振興策が打ち出され、一七年度だけでも米軍再編交付金など防衛関連の交付金は百十四億円。市の一般会計の15%に相当し、六十億円のごみ焼却施設整備などに充てられる。
「アメリカを前にして、国には主体的な交渉能力はなかった。金をちらつかせるしかやり方がない」。井原さんは市長時代の体験を振り返りながら思う。
「沖縄にも岩国にも、これほどの駐留が必要なのか。日米地位協定や基地のあり方といった本体の議論もせず、反対の声を無視して首都圏から地方へ負担を付け回すだけで防衛の効果があるのか。地域の声を聞き、全体の政策を考えるのが国の役割ではないか」